どうも。スズキタケヒロです。
今回は股関節の筋学&運動学です。
骨学はこちらのブログをご覧ください。
屈筋
腸腰筋
腸腰筋は解剖学的には腸骨筋と大腰筋の2つで構成されています。
腸骨筋は腸骨窩と仙骨外側縁から、大腰筋は第12胸椎と椎間板を含む全腰椎の横突起から大腿骨頭前面で筋線維が混じり合い小転子に付着しています。
幅広で太い腸腰筋腱は骨盤前方(腸恥隆起と恥骨上枝の間)を乗り越えた後に35〜45°後方に向きを変えるめ股関節が伸展位になるとこの角度が増大し張力も増します。
逆に股関節90°屈曲になると短縮位となり張力を失う可能性があります。
大腰筋は体幹と下肢を繋いでいるため、大腿骨が固定されれば体幹や骨盤を屈曲させ、両側収縮すると腰椎の前額面上での安定性を向上させます。
ちなみにストレッチするならこんな感じです。
縫工筋
縫工筋は上前腸骨棘から脛骨近位内側面に伸びる人体最長の筋肉です。
英語ではsartoriusと描かれますがこれは足を組んで座る仕立て人の姿勢を意味するsartorというラテン語が語源になっているんですが、まさに縫工筋の作用(屈曲、外転、外旋)をまさに表現した言い方ですね。
大腿筋膜張筋
縫工筋のすぐ外側の腸骨に付着する薄い筋肉で、遠位では腸脛靭帯の近位部に付着します。
大腿筋膜張筋は解剖学的肢位において股関節の屈曲と外転に作用します。
大腿直筋
下前腸骨棘から始まり膝蓋腱を介して脛骨に付着しています。
この筋肉については膝関節の筋学で説明しようと思います。
内転筋
股関節の主要な内転筋は恥骨筋、長内転筋、薄筋、短内転筋、大内転筋です。
補助的に大腿二頭筋、大殿筋、大腿方形筋、外閉鎖筋も関与します。
内転筋群は解剖学的に3層で構成されていて浅層は恥骨筋、長内転筋、薄筋です。
中間層は短内転筋、深層は大内転筋になります。
大内転筋は内転筋で1番大きな筋で全内転筋の総断面積の60%を占めています。
内転筋群は様々な方向から股関節に向かっているため全ての運動面において内転力を生み出します。
内旋筋
実は股関節には純粋な内旋筋は存在しません。
その上で内旋に関与するのは中殿筋前部線維、小殿筋前部線維、大腿筋膜張筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋です。
股関節の肢位に応じてこれらの筋が内旋力を発生させています。
例えば水平面で見てみると大腿筋膜筋を除く筋はこのような作用力線をもちます。
ちなみに屈曲角度が90°になると中殿筋による作用は股関節中間位と比較して8倍になります。
伸筋
股関節の伸筋は大殿筋、ハムストリングス、大内転筋後頭、中殿筋中後部線維です。
下肢がフリーなら(OKC)股関節伸展に作用しますが、下肢が固定させた状態(CKC)なら骨盤をわずかに後傾させ腰椎の前弯を減少させます。
前傾姿勢ではハムストリングスが股関節の安定性に総力戦をします。
軽度の前傾姿勢であれば大殿筋も協同して働きますが頭部が股関節よりも前方に移動するとハムストリングが総力戦状態になり、むしろ大殿筋は活動を低下させます。
なので。
このように階段を上がるときの前脚では頭部が股関節よりも前方にあるのでまずハムストリングスが働き、次いで頭部の位置が股関節上にくると主力のバトンは大殿筋に渡されます。
外転筋
メインの外転筋は中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋でサブの外転筋は梨状筋、縫工筋、大腿直筋、大殿筋前部線維です。
中殿筋は平たい扇状をしていて、腸骨外側上の前殿筋線の上方から大転子に付着します。
外転筋の中で最大筋力を発揮するのがこの中殿筋です。
小殿筋は中殿筋の深部にあり少しだけ前方に位置しています。
外転筋の総断面積の20〜30%を小殿筋が、60〜65%を中殿筋が、4〜10%大腿筋膜張筋が占めています。
これら外転筋の作用は歩行時の骨盤の安定には欠かせない存在です。
立脚相におけるほとんどの段階では外転筋は骨盤安定に作用しています。
ようは歩行中の片脚立脚の間、外転筋が骨盤を安定させないと遊脚側の骨盤が下降するってことです。
また股関節の矢状面肢位の変化にのる外転筋の作用の強さの変化は以下のようになります。
股関節が最大伸展時に外転筋の作用は最大になるのがわかるかと思います。
逆に屈曲40°付近ではその作用は最も小さくなります。
外旋筋
外旋筋は大殿筋および外旋6筋のうち短外旋筋と呼ばれる5つになります。
中殿筋、小殿筋の後部線維、外閉鎖筋、縫工筋、大腿二頭筋長頭は補助的に作用します。
梨状筋
仙骨孔(頭側から3つ)付近から大転子に付着し、外旋だけではなく外転の補助もします。
内閉鎖筋
閉鎖膜の内側面と閉鎖孔の周囲に付着し、大きく角度を変える走行で遠位付着部に向かいます。
その角度は実に130°になります。
しかしこのおかげで滑車の作用が発生し大腿骨の外旋を生み出し、大腿骨が固定されていれば骨盤の回旋が可能なわけです。
上下双子筋
大きさがほぼ同じで小坐骨切痕の上下から大腿骨の共通付着部位に向かって走行します。
大腿方形筋
双子筋のすぐ下にある平坦な筋で、坐骨結節から大腿骨近位部の後面に付着します。
異常な骨形態などがあると小転子と坐骨の間でインピンジメントを起こし鼠径部痛や殿部痛を起こすことがあります。
外閉鎖筋
閉鎖膜の外側とその付近の腸骨から大転子の転子窩に付着します。
ここまでの内容が理解できたらめちゃくちゃ面白いブログがこちら
まとめ
股関節は体幹と下肢を連結する関節として機能するため、全身性運動の回転軸になります。
しかし上肢と違い、可動性よりも安定性が求められた設計になっているので安定を確保しながら可動するという難しい要求をされている面もあります。
階段を上がる、かがんでものを持ち上げるなどの動作は股関節に可動性と筋力が求められるため、股関節の可動域制限、筋力低下、疼痛などは患者さんの人生に暗い影を落としやすいです。
股関節症状で困っている患者さんの生活を改善するためにも今回の知識は頭に入れておきたいものです。
他にも解剖学や運動学のブログを書いていますのでよければご覧ください。
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