どうも。スズキタケヒロです。
今回は股関節の骨学について解説します。
寛骨
腸骨、恥骨、坐骨の3つが癒合したもので左右に1つずつあり、前方は恥骨結合、後方は仙骨と連結しています。
上半分は腸骨翼(14)、大腿頭を受け止める寛骨臼(9)、その内下方にある孔が閉鎖孔(7)になります。
腸骨
腸骨外側面には後殿筋線(19,17の間)、前殿筋線(19)、下殿筋線(2)があり、これらにより殿筋の付着部が確認できます。
ランドマークとして有名なのは上前腸骨棘(3)、上後腸骨棘(17)、腸骨稜(1)です。
恥骨
恥骨上枝(14,12の間のエリア)は寛骨臼前方にある腸恥隆起(14)の基部から恥骨体(11,10の間のエリア)に向かって内側に伸びます。
恥骨体の上縁部分の恥骨稜(13)は腹直筋の付着部で、恥骨上枝の上縁部分の恥骨櫛(12)には恥骨筋が付着します。
恥骨上枝から前方に突出する恥骨結節(11)には鼠径靭帯が付着し、恥骨下枝(10)は恥骨体から坐骨との接合部に向かって後方に伸びています。
左右の恥骨により恥骨結合関(下9)節が形成され、この関節は不動関節とされています。
関節面は硝子軟骨に覆われギザギザしていて適合性を高めています。
さらに繊維軟骨性の恥骨間円板と靭帯により強く結び付けられていて、恥骨間円板には腹直筋が付着してより強く補強されます。
坐骨
坐骨には後ろに飛び出た坐骨棘(13)がありそのすぐ上下に大坐骨切痕(15)、小坐骨切痕(12)があります。
坐骨結節(11)は大きく頑丈で簡単に触れることができ、ここにはハムストリングスや大内転筋の一部が付着します。
寛骨臼
寛骨臼は腸骨、恥骨、坐骨の全てが関わっていて、75%を腸骨と坐骨で、25%恥骨で構成しています。
大腿骨
大腿骨は人体で最長の骨です。
大腿骨頭(1)は若干前に突き出していて、大腿骨頸部(2)により骨幹部と繋がっています。
頸部の存在によって骨幹部は股関節から外側に遠ざけられ、骨盤に衝突しにくい設計になっています。
頸部を通り過ぎて骨幹部のより遠位になると今度は内側に向き始め、膝関節が身体の中心にくるようになっています。
また大腿骨は少しだけ前弯していてこれは体重がかかった際の負荷分散に一役買っています。
転子間線(11)は関節包靭帯の付着部を示していて、大転子(12)は頸部と骨幹部の接合部から外後方に伸びています。
後方に回ると転子間稜(2)で頸部が骨幹部に接続しています。
小転子(17)は転子間稜の下端から後内側に向かって突出し、ここには腸腰筋が付着します。
後面の中央部には粗線という明確な隆起部があり、内側を恥骨筋線(16)、外側を殿筋粗線(3)と言います。
頸体角
大腿骨近位部の傾斜角を頸体角と言い、これは前額面上で頸部と骨幹部内側とでなされる角度です。
生まれたばかりの頃は165〜170°あり、歩行などにより荷重がかかることで徐々に減少し成人になる頃には125°になります。
この角度によって関節面でのアライメントが最適化されます。
頸体角が125°より小さければ内反股、大きければ外反股という状態になります。
大腿骨の前捻角
大腿骨には頚部と骨幹部の間に捻れが存在します。
大腿骨を上から見ると内外顆を貫く軸に対して頚部が数度前方を向いていて。この角度が15°を超えると異常となります。
生まれたばかりの頃は40°ほどあり成長に伴って16歳頃には15°にまで減少します。
小児での過前捻は内股歩行に関係していることが多く、これは骨頭を関節臼に適合させるための代償動作をされています。
大腿骨頭
大腿骨頭は鼠径靭帯の中央1/3直下にあり、成人の両方の大腿骨頭の中心間距離は平均17.5cmです。
骨頭中心のやや後方にはハッキリとしたくぼみの大腿骨頭窩があり、そこを除いて全面が関節軟骨に覆われています。
関節軟骨の厚さは部位によって最大3.5mmにもなります。
大腿骨頭靭帯は骨頭窩と寛骨臼靭帯の間を走行していて、新生児では寛骨臼動脈の保護の役割を担っています。
成人になると寛骨臼動脈は骨頭の栄養血管としては機能していません。
大腿骨頭靭帯には受容器が存在するため股関節の安定性に寄与していると考えられています。
関節唇
関節唇は寛骨臼の外縁部分を包囲しする線維軟骨です。
その断面はほぼ三角形で鋭側の端は寛骨臼から外側に5mmほど飛び出ています。
反対に底側は寛骨臼の内外足に付着していてそこで寛骨臼の関節軟骨と癒合しています。
関節唇軟骨接合部と言います。
関節唇の役割は寛骨臼を深くし大腿骨頭を掴むように安定させることです。
関節の機械的な密封を作り出し内圧を陰圧に、陰圧にすることで滑液の漏れ防止に役立っています。
関節唇には血管はほとんどありませんがそれとは対照的に関節受容器や痛覚の求心性神経が豊富にあります。
CE角
CE角は寛骨臼が大腿骨頭を覆う角度のことです。
成人での一般的な平均角度は25〜35°で角度が小さいほど寛骨臼が浅く関節面の接触面積は狭いという解釈になります。
接触面積が減れば関節の荷重を受け止める面が狭くなるということです。
単位面あたりの荷重が増えれば軟骨への負荷も増えるのは理解できますよね。
臼蓋の前捻角
臼蓋前捻角は寛骨臼面の前方への傾きです。
通常約20°で大腿骨頭前面がが寛骨臼から露出する範囲に該当します。
この露出部が前関節包靭帯と腸腰筋によって支持されていますが臼蓋前捻角が増えると関節不安定性が増します。
関節包と靭帯
股関節の関節包はその内側が滑膜に覆われていて、腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯がその外側を補強しています。
また関節方前方の一部は小殿筋、大腿直筋の反転頭が付着することで補強されています。
腸骨大腿靭帯はY靭帯とも言われ、Y字の形をした分厚い組織です。
近位付着部は下前腸骨棘付近と寛骨臼縁にあり、内側束と外側束に分かれて転子間線にそれぞれ付着します。
この靭帯は人体の中で最硬で最強の靭帯です。
恥骨大腿靭帯は寛骨臼の前下縁、恥骨上枝や閉鎖膜に付着し、腸骨大腿靭帯の内側束と交じり合います。
坐骨大腿靭帯は寛骨臼の後下縁、坐骨付に付着、大部分を占める浅層線維は大腿骨頸部の後方を通り上外側に向かって螺旋走行をし、大転子に付着します。
以上、股関節の骨学でした。
基礎も基礎な内容ですね。
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