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胸椎の筋学

胸椎の解剖学の画像2

どうも。スズキタケヒロです。

胸椎の解剖学の筋学についてです。

と言いたいところなんですが、胸椎の筋肉って起立筋くらいしかないんですよね正直。

しかも起立筋て胸椎領域だけじゃないですし。

起立筋は腰椎の解剖学の時にまとめることにして今回は胸郭、それも呼吸に関する筋学についてまとめます。

前回のブログ、胸椎骨学についてはこちら

呼吸における筋活動

呼吸は色々な筋肉が連動して行われています。

また呼吸筋は体幹や頭頸部のコントロールや安定性の制御にも関与していて関節的に四肢運動にも関係します。

なので呼吸筋の機能低下は様々な悪影響が生じると考えられるわけです。

安静時吸気筋

安静時吸気筋は横隔膜、斜角筋、肋間筋です。

横隔膜

ドーム状の薄い膜性の筋肉です。

腹腔と胸腔を分ける部位であり、上面は胸腔の底面となり、下面は腹腔の天井になっています。

https://visual-anatomy-data.net/muscle/diaphragm/diaphragm-35.jpg

下位6肋骨に付着する肋骨部、剣状突起に付着する胸骨部、上位3腰椎に付着する脚部の3区分に分けることができます。

これら3つのエリアが収束して付着する部分を腱中心と呼びます。

肝臓の位置により安静時の横隔膜は右側がやや高くなっています。

安静時吸気では横隔膜は1.5mほど下降し、努力性吸気では6~10cm下降しここまで下降するとほぼ平坦になります。

Max吸気で右側は第11胸椎、左側は第12胸椎の高さまで下降します。

吸気筋で最も重要なのは横隔膜で、換気の60〜80%を行なっています。

垂直方向、側方、前後に胸郭を拡大しその内圧を下げることで吸気を起こします。

 

横隔膜は吸気時まず初めに神経系によって活性化される筋で、下位肋骨を固定し、収縮することでドームの下降を起こします。

この下降によって胸腔の垂直方向の容積が大きく増加します。

ここからさらにドームの下降をしようとすると腹腔臓器などが邪魔になり抵抗となります。

しかし、この腹腔臓器による抵抗が横隔膜の位置を安定させることで、さらなる収縮により下位6肋骨の挙上が始まります。

 

また面白いのが運動時の横隔膜の働きですが、安静時ほど呼吸に強く関与しなくなります。

この理由は腹圧を上昇させ運動時の体幹の安定を確保するためです。

横隔膜のトレーニング方法についてはこちら

肋間筋

肋間筋は内・外肋間筋に分けることができます。

と思いますでしょ?

実は肋間筋は3層構造なんです。

外肋間筋

最も表面にあり、外腹斜筋と近しい深さと線維方向をもちます。

それぞれ11対あり、上位の肋骨下面から下位の肋骨上面に張ります。

https://visual-anatomy-data.net/muscle/img/MB2-03-02-2.JPG

外肋間筋は外側ほどよく発達していて前方になると薄い膜に移行します。

内肋間筋

外肋間筋の深層にあり、内腹斜筋と近しい深さと線維方向をもちます。

それぞれ11対あり、その線維は外肋間筋と垂直交差します。

内肋間筋は前方部分でよく発達していて、後方になると薄い膜に移行します。

最内肋間筋

肋間筋の中で最も深層にあり、発達も最も乏しい筋肉です。

その走行は内肋間筋と平行で、下部胸郭で最も発達しています。

作用はよくわかっていませんが、おそらく内肋間筋と似てるんだと思います。

斜角筋

頸椎と上位2肋骨に付着する斜角筋(上・中・下)は頸椎が固定された状況下において両側収縮することで、肋骨を挙上させ胸腔容積の上昇に作用します。

斜角筋については頸椎筋学で解説しています。

肋間筋の機能

教科書的には外肋間筋が吸気に、内肋間筋は呼気に関与するとされています。

それっぽくまとめてみると

  • 外肋間筋
    吸気の主動作筋であり、胸部の背側と頭側で強い作用を発揮します。
    逆に尾側では作用は低下します。
      
  • 内肋間筋(傍胸骨線維)
    吸気の主動作筋であり、その作用は頭側ほど強く、尾側ほど弱くなります。
     
  • 内肋間筋(骨間線維)
    努力性呼気の主動作筋であり、胸郭全体に作用をもちます。

呼吸から話がそれますが、外肋間筋は対側への体幹回旋、内肋間筋は同側への体幹回旋でも活動します。
どの程度の関与かはわりませんが。

吸気中、胸腔の拡大だけでなく、肋間筋の収縮は胸郭の剛性上昇に役立ちます。

なぜ剛性の上昇が必要なのかというと、吸気では胸腔内は陰圧になります。

仮に剛性がなければ胸壁組織が部分的に内側へ吸い込まれてしまいます。

フレイルチェストってのがまさにそれですね。

努力性吸気筋

努力性吸気筋は以下の通りです。

上後鋸筋、下後鋸筋、肋骨挙筋、胸鎖乳突筋、広背筋、頸腸肋筋、小胸筋、大胸筋、腰方形筋

簡単にまとめます。

上後鋸筋

https://visual-anatomy-data.net/muscle/img/serratus-posterior-superior-4.jpg

 上部肋骨を挙上させます。

下後鋸筋

横隔膜の初期収縮をサポートするのに下位肋骨を固定します。

肋骨挙筋

肋骨を挙上させて胸腔拡大に作用します。

胸鎖乳突筋

胸骨と上位肋骨を挙上させます。

詳しくはこちら

広背筋

下位肋骨を固定し胸腔を拡大させます。

ただしこれは上肢が固定されているのが条件です。

頸腸肋筋

https://visual-anatomy-data.net/muscle/img/MB2-05-02-02.JPG

体幹伸展により胸腔拡大に作用します。

小胸筋

上位肋骨を挙上します。

ただしこれは僧帽筋や肩甲挙筋により肩甲骨が安定しているのが条件です。

大胸筋

中位肋骨と胸骨を挙上し胸腔拡大に作用します。

ただしこれは肩関節90°屈曲位もしくは外転位固定が条件です。

腰方形筋

努力性吸気の初期に下位肋骨を安定させます。

努力性呼気筋

安静呼気は?って思った方がおられるかもしれません。

安静呼気は吸気の結果、胸部、肺、弛緩した横隔膜の弾力的な復元力により起こる受動的な反応になります。

つまり息を吸えば勝手に起こります。

 

努力性呼気筋は以下の通りです。

腹筋群、胸横筋、内肋間筋の骨間線維

腹筋

腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の4種類があります。

これら腹筋群の収縮により胸椎の屈曲肋骨と胸骨の下制が起こります。

瞬間的に強くおこれば咳、くしゃみとなります。

 

特に腹横筋の収縮は腹圧を上昇させ、それにより弛緩した横隔膜は胸腔内に押し戻されます。

 

ちょっと視点を変えるとこの腹筋群の機能はとても重要です。

咳、くしゃみ、その他には笑うなど、生きるのに欠かせない機能を担っています。

咳、くしゃみができなければ呼吸器感染のリスクは高まりますし、笑うことができなければ他者とのコミュニケーションに影をさしかねません。

胸横筋

胸横筋は胸郭の内側にあり、胸骨のした1/3から第4〜5肋骨に付着する筋肉です。

https://commons.m.wikimedia.org/w/index.php?search=Transversus+thoracis&title=Special:MediaSearch&type=image

腹筋群や内肋間筋の骨間線維の収縮と同期して収縮します。

 

ここまで理解したあなたに超おすすめ記事があります。

 

以上が呼吸に関与する筋肉の解剖学になります。

そもそも存在意義に?マークな筋肉もあったかもしれません。

 

今回の内容があなたの臨床の一助になれば幸いです。

解剖学ブログを他にも書いていますのでよければどうぞ。

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この記事を書いた人

スズキ タケヒロのアバター スズキ タケヒロ 集-tsudoi-設立者

得意の徒手療法を中心に初学者が明日から現場実践できる基礎内容を担当