どうもどうも。スズキタケヒロです。
いよいよ足関節の運動学です。
骨学、筋学の知識をベースに解説していきます。
距腿貫説の関節包内運動
非荷重
足関節が背屈するとき距骨は後方へ滑ながら前方へ転がります。
この後方滑りがあるからこそ、前の動くことのできない距骨が前方に転がることが可能になっています。
距骨と踵骨が同時に一緒に後方へ滑ると踵腓靭帯をはじめとした側副靭帯(後脛腓靭帯、後距腓靭帯、三角靭帯)が緊張します。
逆に底屈するときは前方に滑りながら後方へ転がります。
ここで緊張するのは前距腓靭帯ですね。
荷重
ここでは主に歩行における立脚相での話をします。
まず踵が接地すると、足底全体を接地させるために足関節はすぐに底屈を始めます。
接地時は背屈でないといけませんがその理由はこちらのブログで解説しています。
足底が接地すると足は地面に固定されます。
足は固定されても体は前に進むので次に下腿の前傾が起こり、足関節は背屈を始めます。
先に説明したように背屈すると側副靭帯が緊張し足関節は安定します。
プラス背屈することで距骨がほぞ穴におさまる形となり足関節は安定します。
蹴り出しの開始時には最大背屈位となり最も安定するクローズパック肢位となります。
より歩行にフォーカスして
前部区画筋
前脛骨筋
長母趾伸筋
長趾伸筋
第3腓骨筋
これらの筋は立脚初期と遊脚全体において最も強く活動します。
踵接地〜足底接地までの期間に底屈速度をコントロールするために遠心性収縮を行います。
この遠心性収縮が行われることで内側縦アーチの降下を減速させて、後足部の回内をコントロールしています。
足が浮いている間は足趾が地面に触れないように求心性収縮を行います。
外側区画筋
長腓骨筋
短腓骨筋
これらの筋は立脚のほとんどの間、活動しています。
強くはありませんが、踵接地直後の長腓骨筋の求心性収縮は、後脛骨筋と前脛骨筋の遠心性収縮により制御されている後足部のコントロールに関わります。
腓骨筋群の活動が最も高まるのは距骨下関節が回外し、距腿貫説が背屈から底屈に切り替わる立脚中期〜蹴り出しにかけてです。
この間での最も重要な役割は距骨下関節の回外の量とスピードの制御です。
立脚後期の蹴り出しにおいては底屈に作用し、後脛骨筋などの底屈と回外に作用する力を中和させています。
=中間位安定
蹴り出しの際に特に長腓骨筋が踵の挙上に伴い収縮することで外側から内側への荷重移動を補助します。
これにより反対の足に体重移動ができるようになります。
後部区画筋
腓腹筋
ヒラメ筋
足底筋
後脛骨筋
長趾屈筋
長母趾屈筋
これらの筋は立脚期のほぼ全てで活動します。
中でも足底接地と足趾離地間で強く活動します。
底屈筋群は背屈筋群が弛緩した直後より活動を開始し、足底接地〜踵離地の直前まで、固定された距骨に対する下腿の前傾を減速させるために遠心性収縮を行います。
そして踵離地〜足趾離地までは蹴り出しと遊脚に必要な推進力を発生させるため求心性収縮行います。
後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋は立脚における回内を制御、回外を補助します。
足底全体が接地する際の内側縦アーチの降下を減速させるのに後脛骨筋の遠心性収縮は欠かせません。
この働きにより足部で受ける荷重衝撃を鑑賞しています。
そのため過回内足になると後脛骨筋のより強い働きが求められ腱障害、骨障害などが生じる可能性は高くなります。
立脚中期〜後期では後脛骨筋が収縮することで後足部が回外方向へ向い、下腿と距骨の外旋および内側縦アーチの挙上が同時に起こります。
この時、腓骨筋群も同時に収縮することで足関節の内外側の安定性が高まり、回外のスピードと大きさがコントロールされます。
蹴り出しにおける底屈筋群の筋活動量は歩行スピードとその勢いによって左右され、腓腹筋は膝を跨いでいるのでその長さや張力は膝の位置によっても左右されます。
一方でヒラメ筋は膝を跨いでいないので影響は受けません。
腓腹筋は速筋線維で構成されているためジャンプやダッシュなどのダイナミックな動きに適した筋ですが、ヒラメ筋は遅筋線維で構成されているので立位時における下腿と距骨の間でのわずかな動揺を制御するのに適しています。
全ての底屈筋の中で腓腹筋とヒラメ筋は最強で、足関節の底屈トルクの80%を担うとされています。
なのでこれら2筋が少し弱まるだけで歩行パターンに何かしらの異常が生じるのは理解できるかと思います。
以上、足関節の運動学でした。
次のブログでは足部に突入します。
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