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頸椎の運動学

頸椎の運動学の画像

どうも。スズキタケヒロです。

過去のブログでは頸椎の骨、関節に関する解剖学をまとめました。

今回はその続きとして運動学についてまとめていきます。

矢状面運動

頭頸部は脊柱の中ではトップの可動性をもちます。

関節受容器などの働きにより、頭部の正確な位置決めが容易になり、視覚、聴覚、嗅覚、平衡覚と強い関係性をもちます。

頸椎を分解して見た時、以下のような可動性をもっています。

環椎後頭関節

  • 屈曲:5°
  • 伸展:10°

環軸関節複合体

  • 屈曲:5°
  • 伸展:10°

C2~C7椎間関節

  • 屈曲:35~40°
  • 伸展:55〜60°

頸椎全体で屈曲は50°、伸展は80°の可動性をもつということです。

動きの制限因子

項靭帯と棘間靭帯、椎間板前縁の圧縮は屈曲の制限因子になります。

https://visual-anatomy-data.net/ligament/046.html

逆に伸展の制限因子は椎間関節の接触、棘突起の衝突、椎間板後縁の圧縮になります。

  

矢状面での運動の20〜25%が環椎後頭関節と環軸関節複合体で起こり、残りはC2~C7椎間関節で起こります。

関節内運動

環椎後頭関節

伸展時に後頭顆は後方へ転がり、屈曲時には前方へ転がります。

この時、関節方、環椎後頭膜、翼状靭帯の緊張が関節内運動を制限します。

環軸関節複合体

主な運動は回旋ですが、15°ほど屈曲伸展が可能です。

環椎本体が屈曲時に前方へ、伸展時に後方へ傾くことで生まれている可動域になります。

歯突起と環椎の接触、歯突起と横靭帯の接触がそれぞれ関節内運動を制限します。

C2~C7椎間関節

伸展時は下位の椎骨上関節面に対して、上位の椎骨下関節面が後下方に滑ります。

椎間関節の前側と側方の関節包を伸張させ、完全伸展では椎間関節の下部関節面に負荷が集中します。

椎間関節は伸展においてその適合性が高まることから伸展位がクローズパック肢位とされています。

逆に屈曲位はルーズパック肢位とされています。

クローズパック肢位
関節の接触面積が増加、関節包や靭帯の緊張が高まる肢位

屈曲時にはこれと反対の運動が起こり、下位の椎骨上関節面に対して、上位の椎骨下関節面が上前方に滑ります。

https://visual-anatomy-data.net/ligament/

矢状面での最大の角度変化はC4-C5もしくはC5-C6で発生する傾向にありますが、この部位は頸椎ヘルニアの好発部位と一致していますよね。

RetractionとProtrusion

矢状面での動きは屈曲と伸展だけではありません。

頭部の前方突出(Protrusion:プロトリュージョン)と後退(Retraction:リトラクション)があります。

リトラクションていうのはこの動きです。

前方突出は下位から中位頸椎を屈曲、上位頸椎の伸展によって起こります。

逆に後退は下位から中位頸椎の伸展、上位頸椎の屈曲によって起こります。

リトラクションの細かな解説(セラピスト向け)はこちら

水平面運動

頭頸部の軸回旋は視覚と聴覚に関連する重要な機能です。

その最大可動域は75°とされ、年齢により変化します。

5歳くらいの子供では左右に80°(他動なら100°)の可動域をもっていて、そこに眼球運動を加えると両目の視野は300°を超えます。

軸回旋の50~60%が環軸関節複合体で起こり、残りはC2~C7で起こります。

頸椎を分解して見た時、以下のような可動性をもっています。

環椎後頭関節

  • 軸回旋:0°

環軸関節複合体

  • 軸回旋:40°

C2~C7椎間関節

  • 軸回旋:35°

頸椎全体で75°の可動性をもつということです。

関節内運動

環軸関節複合体

この部位は回旋が得意な設計をされています。

環椎と環椎横靭帯に対する歯突起のねじれによってそれぞれの方向に40°の回旋を起こします。

翼状靭帯、椎間関節の靭帯、頭頸部をまたぐ筋によって制限され、最大回旋時には両側の椎骨動脈を伸張させます。

https://commons.m.wikimedia.org/w/index.php?search=Vertebral+artery&title=Special:MediaSearch&type=image

ちなみに椎骨動脈が関係してくる頸椎の検査法はこれ

C2~C7椎間関節

下関節面は同側回旋時に後方+ちょい下方へ、対側回旋時には前方+ちょい上方へ滑ります。

C2~C7全ての椎間関節で作り出す可動域が環軸関節複合体での回旋可動域と同じくらいになります。

前額面運動

前額面での動きの大部分はC2~C7領域で起こります。

頸椎を分解して見た時、以下のような可動性をもっています。

環椎後頭関節

  • 側屈:5°

環軸関節複合体

  • 側屈:0°

C2~C7椎間関節

  • 側屈:35°

頸椎全体で40°の可動性をもつということです。

関節内運動

環椎後頭関節

後頭顆の側方への転がりが環椎の上関節面で少しだけ起こります。

C2~C7椎間関節

同側側屈で下関節面は下方+ちょっと後方へ滑り、対側側屈では上方+ちょっと前方へ滑ります。

 

以上でこのブログの内容は終了になります。

すごく基礎的な内容ですので頭に入れておきたいものです。

ちなみにぼくが臨床で多用する手技に関節内運動を利用するものがあります。

それがこちら

どちらも非常に便利で関節面の方向が頭に入っていれば全然難しくないテクニックです。

臨床の一助になれば幸いです。

関節の動きがわかると筋肉も理解しやすいかもしれませんね。

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この記事を書いた人

スズキ タケヒロのアバター スズキ タケヒロ 集-tsudoi-設立者

得意の徒手療法を中心に初学者が明日から現場実践できる基礎内容を担当