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腰椎の運動学

腰椎の運動学の画像

どうも。スズキタケヒロです。

今回は腰椎の運動学についてまとめます。

はじめに

腰椎は意外に3面運動が可能です。

  • 矢状面
    屈曲:45〜55°
    伸展:60〜80°
  • 水平面
    軸回旋:5°
  • 前額面
    側屈20°

屈曲

屈曲時、椎間関節において下関節面は上関節面に対して5mmほど上前方の移動します。

屈曲による椎骨間への圧迫力は椎間関節から椎間板、椎体に向けて後ろから前へと抜けていきます。

この時、圧縮された椎間板の前部と伸張された後縦靭帯が多くの負荷を支えることになります。

この状態が長く続くと最終的に髄核の後方変位が起こりますが詳しくはこちらをご覧ください。

屈曲最終域になると椎間関節の関節包が上位椎体の前方移動を止めにかかります。

この椎間関節の関節包が結構強く、最大で1,000Nの負荷に耐えられるそうです。

約100kgってことです。

伸展

腰椎の伸展が股関節の伸展と組み合わさると屈筋と股関節の関節包靭帯により、骨盤に対して前傾力が発生するので腰椎前弯が強調されます。

屈曲位から伸展した場合、負荷は椎間関節にかかり、関節面の接触面は増加します。

伸展最終域になると上位椎体の下関節面が下位椎体の上関節面を通り過ぎるほど下方に移動します。

https://visual-anatomy-data.net/index.html

ご覧のように腰椎の下関節面(7)は下方に向かって尖っています。

いきすぎた伸展はこの下関節面が下位腰椎の椎弓板に接触します。

いわゆる慢性腰痛での反り腰がどういう状態かは想像できるかと思いますが、酷い反り腰では椎弓板の損傷なども考えておく必要があるかもしれません。

持続的な腰椎の伸展は椎間板内圧を低下させ、髄核を前方に変位させることがあります。

これを利用してヘルニアなどの治療をした際に下肢痛が脊柱に向かって移動収束する現象が起こり、これ痛みの中枢化(centralisation)と言います。

マッケンジー法の生みの親である理学療法士のロビン・マッケンジー先生はこの現象を発見したことで有名です。

ちなみにこれが勉強不足な人たちが仰る「マッケンジー体操」だと思うんですが、正しくはExtension In Lyingという名前で頭文字をとってEILと呼ばれています。

メンバーの方はこちらをどうぞ。

ちなみに屈曲運動もあって

これはFlexion In Lyingで頭文字を取ってFILなんて呼ばれています。

腰椎骨盤リズム

腰椎は股関節と一緒に屈曲の中心になります。

矢状面運動での腰椎と股関節の運動学的関係と腰椎骨盤リズムといいます。

立位から体幹屈曲

膝を伸ばしたまま体幹を屈曲するシチュエーションで考えてみましょう。

一般的にはこの動作をすると股関節は60°屈曲、腰椎は45°屈曲し、動作のまず最初の25%で腰椎の屈曲が優位に起こり、最後の25%で股関節の屈曲優位に起こります。

この典型的パターンから大きく外れた立位体前屈をする場合、腰椎か股関節にトラブルがある可能性が高いと言えます。

腰椎に制限があれば前弯を残したままの立位体前屈に、股関節に制限があれば股関節の曲がりがない立位体前屈になります。

具体的に

股関節の制限がある状態で床に向かって体幹屈曲を行うと腰椎と下位胸椎に強い屈曲を要求し、胸腰筋膜を含む後部結合組織を過伸張させ、脆弱化を招き、これらの屈曲のストッパーとしての機能を低下させます。

腰椎の制限がある場合では股関節に強い屈曲が要求され、股関節伸筋への負荷が増し、結果として股関節への圧縮負荷が増えます。

健常者であればこのレベルの負荷は問題ありませんが、膝OAや股OAを抱える人にとってはその信仰を加速させる可能性があります。

股関節に筋学についてはこちらでどうぞ。

前屈位から体幹伸展

前項の立位体前屈の状態から体幹を起こす(伸展)シチュエーションで考えてみます。

この場合、伸展初期で股関節伸展が優位に起こり腰椎の伸展は伸展中期頃に優位になります。

もし腰椎の伸展が遅れれば股関節伸筋に大きな負荷を要求することになります。

腰痛や腰椎の変性がある人は意図的に腰椎の伸展を遅らせることがあるので要注意です。

骨盤前傾と腰椎前弯

骨盤の前傾は股関節屈筋群と腰椎伸筋群の収縮によって起こり、それにより腰椎には前弯がもたらされます。

腰椎は生理的に好ましくない前弯増強を起こすことがあります。

多くの場合、股関節伸筋と腹筋群の筋力低下によって引き起こされる現象です。

こうなってくると股関節屈筋の過緊張が起こり股関節屈曲拘縮を呈してきます。

さらに過度な腰椎前弯増強は腰仙接合部での前方剪断力を増加させすべり症を起こします。

骨盤後傾と腰椎後弯

骨盤の後傾はっこ関節伸筋と腹筋群の収縮によって起こり、それにより腰椎には後弯がもたらされます。

 

この2つの動きに対して一般には前弯増強なら屈曲(ウィリアムズ体操)、後弯増強なら伸展(マッケンジー体操)と言われていますがこれは間違いです。

そもそもマッケンジー体操という名の体操は存在しません。

マッケンジー法には伸展運動だけでなく屈曲運動や回旋運動、またはこれらの混合運動が存在します。

外見上の状態から運動療法を選択するのは正直言って、短絡的すぎます。

この話について詳しく知りたければこのブログが全て教えてくれます。

軸回旋

非常に狭いながらも腰椎には軸回旋可動域が存在します。

腰椎は椎間関節の関節面が矢状面を向いているので軸回旋への物理的が制限が強く、回旋時には回旋と対側の椎間関節の関節軟骨の圧縮を伴います。

また回旋は他にも椎間板の線輪の張力によって制限され、腰椎椎間結合で3°の回旋が起こると線維輪に断裂を起こすとされています。

側屈

側屈での関節運動は胸椎とほぼ同じです。

ということで今回はここまで。

このブログがあなたの臨床の一助になれば幸いです。

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この記事を書いた人

スズキ タケヒロのアバター スズキ タケヒロ 集-tsudoi-設立者

得意の徒手療法を中心に初学者が明日から現場実践できる基礎内容を担当