どうも、スズキタケヒロです。
今回は自律神経についての内容なんですが、あなたはなぜ自律神経の勉強が必要だと思いますか?
ぼくは以下の考えのもと自身の整体院を営んでいます。
ジャンル別主な原因分類
外傷:局所の組織損傷
障害:使い方のエラーまたはオーバーユース
慢性症状:神経系のエラー
ぼくの整体院に来られる方は外傷0割、障害2割、慢性症状8割です。
よって神経系の勉強はマストになります。
神経系という表現ではまだ抽象的ですね。
ここで言う神経系とは末梢からの情報入力とそれに応答する脳からの運動出力の一連のシステムのこと言っています。
その中で自律神経(特に迷走神経)が非常に重要な役割をしていることはご存知でしょうか。
自律神経と言うと交感神経、副交感神経を連想すると思いますが厳密に言うとこの解釈は間違いです。
自律神経のことを以下のように説明する方をよく見かけますが誤った認識です。
・交感神経と副交感神経は拮抗する関係
・ストレスに対抗するには交感神経によるflight or fight(闘争逃走)反応しかない。
・交感神経優位になると副交感神経が抑制され、それが慢性的に続くと様々な不調の原因となる。
実は自律神経は全部で3種類あります。
今回はそれについて解説していきます。
そもそも自律神経は2種類じゃない
ということで自律神経は2種類ではありません。
以下の通り自律神経は全部で3種類あります。
①交感神経
②背側迷走神経
③腹側迷走神経
副交感神経どこいった?
上記3つのうち②③が副交感神経になります。
つまり副交感神経は2種類あるということです。
自律神経は全部で3種類あるのでブレーキとアクセルという表現は適切ではありません。
交感神経
交感神経はFight or Flightと言って闘うか逃げるかの反応システムです。
脳がいま置かれている環境を危険と判断すると交感神経システムが作動します。
言うなれば体の可動化システムです。
その結果の生理反応として
・心拍数の上昇
・気管支の拡張
・血管の収縮
・発汗
・副腎髄質ホルモンの分泌
・消化器の活動抑制
などが起こります。
ようはHPA軸ですね。
今すぐ知りたい人はこの記事をお読みください。
背側迷走神経
背側迷走神経は無髄の迷走神経のみで構成されます。
延髄の背側(孤束核)から起始するのでこの呼び名が付いています。
脳がいま置かれている環境を危険以上の生命の危機と判断すると背側迷走神経システムが作動します。
言うなれば体の不動化システムです。
その結果の生理反応として
・心拍数の減少
・気管支の収縮
・消化器の活動促進
などが起こります。
体全体をシャットダウンし、生命維持のみにステータスを全振りする状態になります。
骨格筋活動などは全てほぼ停止、内臓器のみ稼働させ生命維持に必要最低限なエネルギー消費のみの超省エネモードになります。
動物の死んだふり(死にまね反応、持続性不動状態、警戒性徐脈)なんかが好例です。
狸寝入り
たぬきは猟師に撃たれると死んだふりを決め込み、猟師が1発で仕留めたと鼻高になって一服している間に姿をくらますことから生まれた言葉だそうです。
たぬきの死の判別の難しさは昔から猟師たちの間では有名な話だそうです。
取らぬ狸の皮算用
まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考えること。
手に入るかどうかわからないものを当てにして計画を立てることのたとえ。
たぬき猟の難しさから生まれたことわざかもしれませんね。
あくまで死んだふりなので意識までは消失しておらず、周囲の状況を常にモニタリングし生存のチャンスを伺います。
ちなみに熊の死んだふりは要注意です。
本当に死んだ熊は拳が開きますが、死んだふりの熊はしっかり拳を握ったままだそうです。
安易に近づこうものなら返り討ちにあって一瞬で天国です。
熊猟をする際は十分に気をつけてくださいね。
じゃあ人間の場合は?
前述した生理反応が起こり失神や気絶、虚脱、パニック、抑うつなどを起こします。
腹側迷走神経
腹側迷走神経は有髄の迷走神経です。
背側迷走神経に対してこちらは迷走神経、顔面神経、舌咽神経、副神経、三叉神経で構成されます。
延髄の腹側(疑核)から起始するのでこの呼び名が付いています。
脳がいま置かれている環境を安全と判断すると腹側迷走神経システムが作動します。
社会的関与システムと言えます。
その理由がこちら
ご覧の通りコミュニケーションに欠かせない領域に関係しています。
生理反応は
・心拍数や気管支
・発声や表情
これらを状況に合わせて調整します。
またこの腹側迷走神経は哺乳類以降の生物にしか備わっていません。
哺乳類は爬虫類と違い、安全な環境の中で進化してきています。(進化の途中から)
同種内社会的行動(群れや家族)、育児、ペア関係の絆など同種内の特定の個体に対して選択的な反応は爬虫類までの生物には存在しません。
ここまで説明した3種類の自律神経をまとめるとこんな感じです。
さいごに
ここまで見てきて気づいた方がいるかもしれませんが、自律神経は心拍数の上昇や気管支の拡張などといった呼吸に関わる機能の調整には必要不可欠な存在です。
呼吸が浅い、呼吸が早い、肩で呼吸している
これらの呼吸のわずかな異常が自律神経の機能異常から起こる可能性も十分に考えられます。
あなたの目の前の患者さんはどうですか?
座ってリラックスして深呼吸してみてもらうと色々とわかることがあるかもしれませんね。
このブログは下記の記事の有料部部をちょい出しした内容になります。
自律神経の正解はまだまだ奥深く面白いです。
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