どうもどうも。スズキタケヒロです。
今回は肩関節の骨学です。
肩関節とは言いましたが肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節を解説するので肩複合体と言うのが正しいかもしれません。
骨
胸骨 Sternum
胸骨は胸骨柄と胸骨体、剣状突起で構成されます。
胸骨柄は左右1対の楕円形の鎖骨関節面をもち胸鎖関節を形成し、肋骨関節面では第1、2肋骨と関節えお形成します。
頚切痕は胸骨柄のトップで左右の鎖骨関節面の間に位置します。
鎖骨 Clavicle
鎖骨は前面内側半分が凸状で外側半分は凹状の形をしています。
内側端は胸骨と関節を形成し、その下部では肋骨と接触する肋骨粗面が存在しここは肋鎖靭帯の付着部になります。
外側端は肩甲骨と関節を形成し、下面には円錐靭帯と菱形靭帯が付着します
肩甲骨 Scapula
肩甲骨には3つの角(上角、下角、外側角)と3つの縁(内側縁、外側縁、上縁)があります。
後面は肩甲棘によって棘上窩と棘下窩に分断されます。
肩甲棘は外側で肩峰に、内側では肩甲棘根となります。
肩峰は外側前方に突き出て鎖骨と肩鎖関節を形成します。
肩甲骨はやや凹状の関節窩で上腕骨と関節を形成し、関節窩面は肩甲骨の水平軸よりもやや上向きに傾いていて、これは通常約4°ですが個人差があり、下向き7°〜上向き16°までとバラつきがあります。
安静時であれば肩甲骨は通常、胸郭の後外側面に接していて関節窩は全額面に対して30〜40°前方を向いています。
いわゆる肩甲骨面(Scapular plane)というやつです。
肩甲骨の関節面の上縁と下縁にはそれぞれ関節上結節、関節下結節とよばれる隆起があり、上腕二頭筋と上腕三頭筋の近位付着部になっています。
関節窩の上縁には烏口突起があり複数の靭帯や筋の付着部となっています。
肩甲骨の前面は肩甲下窩という凹んだエリアがありここは肩甲下筋の付着部になっています。
上腕骨 Humerus
上腕骨頭は半球状で肩甲骨と関節を形成します。
上腕骨頭は内側上方を向いていて上腕骨体に対して約135°傾いています。
さらに成人になると肘関節の水平軸に対して水平面で約30°後方を向いています。=後捻
この後捻があることで上腕骨頭は肩甲骨関節窩に真っ直ぐ向くことができています。
生後すぐではこの角度は約65°もあり20歳頃までに約30°に変化していきます。
この角度は成長期間の過ごし方で差が出るそうでオーバースローの多いスポーツ選手では繰り返しの外旋により正常値以上の後捻が起こるようです。
解剖頚は上腕骨頭と上腕骨体の境界線です。
大結節と小結節はそれぞれ前縁と外側縁に突き出た骨隆起です。
小結節は前に鋭く突き出ていてここには肩甲下筋が付着します。
大結節は丸く突き出ていて上小面、中小面、下小面があり、それぞれに棘上筋、棘下筋、小円筋が付着します。
これら2つの隆起の間には溝があり結節間溝と呼ばれ上腕二頭筋長頭腱が通ります。
橈骨神経溝は上腕骨の後方を内側から外側に向かって斜め下に走行していて、上腕三頭筋の外側頭と内側頭の近位付着部を区分しています。
この溝が斜めなのは生後の過度な後捻が成長とともに徐々に前捻した跡だからです。
関節
肩複合体は以下の要素で構成されます。
・胸鎖関節
・肩鎖関節
・肩甲胸郭関節
・肩甲上腕関節
さらっと肩甲骨の動きだけ先に確認してから各関節の骨学を解説します。
胸鎖関節
鎖骨内側端と胸骨、第1肋骨で構成される関節です。
上肢と体幹を繋ぐ関節なので強固に固定されつつ可動しなければなりません。
周囲を関節包に包まれ、前胸鎖靭帯と後胸鎖靭帯で補強されています。
これらに加えて運動中は周囲筋によりさらに安定性を高めています。
前方を胸鎖乳突筋、後方を胸骨甲状筋と胸骨舌骨筋、下方を鎖骨下筋で補強します。
鎖骨間靭帯は頸切痕の上を通り左右の鎖骨内側端を繋いでいます。
肋鎖骨靭帯は第1肋骨から鎖骨下面の肋骨粗面を繋ぐ強い靭帯です。
関節円板については約50%の人には存在しないとも言われています。
肩鎖関節
肩鎖関節は鎖骨の外側端と肩峰で構成される関節です。
胸鎖関節とは対照的にほとんどの人に関節円板が存在するそうでうす。
肩鎖関節は上下を靭帯で補強された関節包で包まれていて、関節包靭帯の上部は三角筋と僧帽筋の付着でさらに補強されています。
烏口鎖骨靭帯は菱形靭帯と円錐靭帯の2つで構成される幅の広い靭帯です。
円錐靭帯は烏口突起の近位から鎖骨の円錐靭帯結節にまっすぐに付着します。
菱形靭帯は烏口突起の上部から鎖骨の菱形靭帯線まで外側上方に走行しています。
肩甲胸郭関節
この関節は解剖学的関節ではなく肩甲骨と胸郭の間の機能的関節です。
2つの骨面は触れているのではなく間に肩甲下筋、前鋸筋、起立筋が存在します。
通常であれば肩甲骨は第2〜7肋骨の高さにあり、内側縁は脊柱から約6cm外側に位置する。
また肩甲骨の静止位置は約10°前傾、5〜10°上方回旋、30〜40°内旋にあり、これがいわゆる肩甲骨面に当たります。
細かな話は筋学・運動学編にて。
肩甲上腕関節
上腕骨と肩甲骨で形成される関節です。
解剖学的肢位において肩甲骨関節窩は外側前方に向いていて、ほとんどの人で関節窩は上を向いています。
その理由はこちらで解説済みです。
また上腕骨は内側上向きで後捻により後ろを向いています。
肩甲骨は前方に、上腕骨は後方に向いているため関節面がぴったり合う形になっています。
肩甲上腕関節は線維性の関節包に包まれていて、それは関節窩の縁に付着して上腕骨の解剖頚まで伸びています。
関節包の内面は滑膜に覆われていて、この滑膜が延長して関節内の上腕二頭筋長頭腱を覆っています。
関節包内の容積は上腕骨頭の約2倍あり、この余剰が大きな可動域を生み出すのに貢献しています。
解剖学的肢位もしくは内転位のときにたるんだ関節包の下部は腋窩嚢とも呼ばれます。
関節包自体は薄くて弱いので関節包外の靭帯によって補強されています。
関節包靭帯
関節包の外層の前面と下面の肥厚部分にあります。
この靭帯のほとんどは上腕骨に付着しますが一部は螺旋状に関節を回って関節包に付着します。
この靭帯が関節包を補強することで関節内部が陰圧に保たれ安定化に寄与しています。
関節上腕靭帯
この靭帯は上・中・下の3線維に分かれます。
上関節上腕靭帯は関節上結節から小結節稜に付着する靭帯で、上腕骨頭の外旋と前下方への並進運動を制御します。
外転35°〜45°で緩みます。
中関節上腕靭帯は関節窩の前方縁の上中部から関節包前部と肩甲下筋と混ざり解剖頚の前部に付着します。
外転45°〜90°で骨頭の前方移動と大きな外旋を制御します。
内旋で緩みます。
下関節上腕靭帯は関節唇を含む関節窩の前下縁から解剖頚の前下縁と後下縁に付着します。
この靭帯は3つの部分から成り立ち前束、後束、腋窩嚢に分けられます。
外転90°で最も緊張し、下方と前後方向への並進運動を制御します。
烏口上腕靭帯
烏口突起の外側縁から大結節前面に付着する靭帯です。
この靭帯は骨頭の下方並進と外旋を制御します。
烏口肩峰アーチ
烏口肩峰靭帯と肩峰によって形成されるアーチです。
ここは肩甲上腕関節の機能的な屋根を形成し、アーチと上腕骨頭の間の空間を肩峰下腔と呼びます。
成人の平均ではこの空間は約1cmとされているそうです。
この中には棘上筋、肩峰下滑液包、上腕二頭筋長頭腱が存在します。
以上、肩関節の骨学になります。
このブログがあなたの臨床の一助になれば幸いです。
次回は筋学について解説します。
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