どうもどうも。スズキタケヒロです。
今回は肩関節の運動学です。
肩関節とは言いましたが肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節を解説するので肩複合体と言うのが正しいかもしれません。
骨学と筋学の理解は大丈夫でしょうか?
胸鎖関節
まず鎖骨の骨運動の自由度は3であるということを覚えておきましょう。
自由度とはもっている運動面の数のことを言いますので鎖骨の場合、水平面・矢状面・前額面の3つの運動面をもっていることになります。
鎖骨の動きは挙上、下制、前方突出、後退、長軸に対しての回旋があります。
鎖骨の運動目的は上腕骨頭と肩甲骨関節窩の位置関係を最適にすることです。
挙上と下制
挙上と下制は前額面上の動きになります。
挙上は34〜45°、下制は10°の可動域があり、挙上は鎖骨内側端が上方へ転がりながら下方へ滑り、肋鎖靭帯が過度な挙上を制御しています。
下制は鎖骨内側端が下方へ転がりながら上方へ滑り、鎖骨間靭帯と関節包靭帯がこれを制御します。
前方突出と後退
前方突出と後退の動きは水平面上での動きになります。
最大可動域はそれぞれ15〜30°でこれは胸鎖関節の横径に沿って起こります。
後退は鎖骨内側端が胸骨関節面上を後方に転がりながら滑り、肋鎖靭帯前部と関節包靭帯前部がこれを制御します。
前方突出はこれとは真逆の動きであり、関節包靭帯後部によって制御されます。
回旋
上肢の挙上や外転時に鎖骨は後方に20〜35°回旋しています。
肩鎖関節
肩鎖関節は胸鎖関節とは大きく違い動きがとても小さいです。
しかしこの小さな動きが肩甲骨と肩複合体の動き、胸郭との位置関係を最適にするため非常に重要になります。
肩鎖関節の動きは鎖骨外側端に対する肩甲骨の動きで表現され、自由度は3です。
もっとも大きな動きは上方回旋と下方回旋で、次いで回旋調整運動という水平面と矢状面での肩甲骨の位置調整の動きが存在します。
上方回旋と下方回旋
肩鎖関節における肩甲骨の上方回旋は、鎖骨外側端に対して肩甲骨が上向きに外側に向かって弧を描く動きです。
下方回旋はこの逆の動きが起こるだけです。
簡単ですね。
回旋調整運動
肩鎖関節では鎖骨外側端に対して肩甲骨が回旋やねじれの動きをとります。
この動きにより肩甲骨を胸郭の形状に適合させ、肩複合体全体の動きを大きくしています。
この回旋調整運動には水平面での内外旋、矢状面での前後傾が存在します。
内外旋
肩甲骨の内縁が胸郭から離れるか近づくかで区別します。
前後傾
肩甲骨の関節窩が傾く方向で区別します。
これらの動きが同時多発的に起こることでスムーズに肩甲上腕関節が動いています。
詳しくはこちらで解説しています。
肩甲胸郭関節
ここでの動きは全て胸鎖関節と肩鎖関節の協調制によって生み出されています。
ここではそれぞれの動きの分解をして解説します。
挙上と下制
肩甲胸郭関節における挙上は胸鎖関節での挙上と肩鎖関節の下方回旋の組み合わせです。
下制はこれの逆の動きが起こるだけです。
内転と外転
肩甲胸郭関節における外転は胸鎖関節での前方突出と肩鎖関節の内旋の組み合わせです。
内転はこれの逆の動きが起こるだけです。
上方回旋と下方回旋
肩甲胸郭関節における上方回旋は胸鎖関節での挙上と肩鎖関節の上回旋の組み合わせです。
下方回旋はこれの逆の動きが起こるだけです。
肩甲上腕関節
肩甲上腕関節は言うまでもなく自由度3です。
外転と内転
肩甲上腕関節単体での外転は120°が限界ですが、肩甲骨の60°の上方回旋が加わる事で180°可能になっています。
外転は上骨頭が上向きに転がりながら下向きに滑る動きであり、内転ではこれの真逆の動きをします。
外転には棘上筋の収縮が必要でこれにより上腕骨頭と肩峰の間に自分が挟まれないようにしています。
外転が90°になると上腕骨頭が下関節上腕靭帯を引っ張りその張力により支えられ安定性をもたらしています。
屈曲と伸展
屈曲と伸展は矢状面上の関節窩での軸回旋とも言えます。
この軸回旋は関節包などを引っ張り緊張させます。
引っ張られた関節包後部は屈曲最終域で上腕骨をやや前方に並進する働きをもちます。
肩甲上腕関節単体での屈曲は120°が限界ですが、肩甲骨の60°の上方回旋が加わる事で180°可能になっています。
外旋と内旋
内旋と外旋は水平面上の軸回旋です。
外旋をすると上腕骨頭は後方へ転がりながら前方へ滑り、内旋ではこの逆が起こります。
個人差はありますが、肩内転位では内旋は75〜85°、外旋は60〜70°可能です。
肩複合体6原則
第1原則:肩甲上腕リズム
肩甲骨:上腕骨= 1:2 の割合で連動するってやつですね。
第2原則:肩の最大外転は胸鎖関節での鎖骨挙上と肩鎖関節での肩甲骨上方回旋で成立する
これのことです。
第3原則:肩の最大外転では胸鎖関節での鎖骨後退が起こる
ご覧のように鎖骨は前額面よりも20°後にあります。
ですので肩の外転にともない鎖骨の後退が起こります。
第4原則:肩が最大外転に近づくと上方回旋している肩甲骨は後傾を起こす
肩の外転が増加するのに伴って肩甲骨は上方回旋し、肩鎖関節で後傾を起こします。
これは肩甲骨を胸郭に沿わす、肩甲骨関節窩を上腕挙上方向へ向け、上腕骨頭を烏口肩峰アーチから引き離すのに役立ちます。
第5原則:肩の外転で鎖骨は長軸上に回旋する
胸鎖関節の部分で解説した通りです。
文章で理解するよりビジュアルの方が理解しやすいと思います。
肩関節が解剖学的肢位の状態では烏口上腕靭帯は弛緩しています。
そしてこの靭帯は鎖骨の裏側まで伸びています。
肩が外転すると烏口上腕靭帯が緊張して鎖骨を引っ張ります。
この時に鎖骨の長軸回旋が起こります。
第6原則:肩の外転時に上腕骨は自然に外旋する
これは上腕骨の大結節が肩峰の後を通って組織を挟まないためにしているものです。
自分の肩を動かして確認してみてください。
以上が肩関節の運動学になります。
やっぱり運動方向が多くて複雑なだけにボリューミーになってしまいましたね。
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